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私のふるさと

岩手県石鳥谷町
東北杜氏発祥の地
桐田善朗さん(皿沼分会)

桐田さん
桐田さん
地図

 私のふるさとは、岩手県の石鳥谷町(いしとりやちょう)です。日本酒が特産品で「南部関」「七福神」など銘柄が有名で、地元には南部杜氏伝承館という日本酒に関係する資料館がありますが、ここには杜氏(*(1))を養成する所でもあったらしく、県内はもちろん全国の酒蔵に杜氏を派遣していたそうです。
 実家は農家で米を作っていました。父は米作りにとても熱心で米の品種改良もしていたようです。私は男女11人の3男として生まれ、幼い時はまだ戦争中で近くに軍の花巻飛行機工場があったため、よく空襲があり防空壕に避難するのですが、その都度死ぬのではないかという恐怖を感じたことを覚えています。小学2年生の時に終戦を迎えましたが、村にアメリカの駐留軍が来たときに日本は戦争に負けたのだなと実感しました。
 中学を卒業と同時に、となり村に大工として弟子入りをしたのですが、その家も農家をしていたので朝早くに起きて農作業を終えてから大工の修行をするという毎日でした。

この豪快に流れる滝が冬には凍ってしまいます
この豪快に流れる滝が冬には凍ってしまいます

 24歳の時に東京に行った兄弟子の友人を頼って、東京へ行きました。5・6年したら帰ろうと思っていたのですが、仕事をしてみると意外と儲かることがわかり仕事が楽しくなって故郷に帰ることをつい忘れてしまい今日に至っています。
 昭和36年に日雇健保が魅力で土建に加入。昭和40年に体調を崩し入院・手術しましたが、当時結婚し妻のお腹には子どもがいたので生活が苦しくなりましたが、土建に加入していたおかげで助かりました。
 写真は地元の「たろし滝」(*(2))という滝で冬になると凍結し、毎年2月11日にはこの凍った柱の太さを測り、その年の米の作柄を占う伝統行事「たろし滝測定会」が行なわれています。氷柱の高さは約13メートルにもなり、最高記録としては昭和53年に太さ8メールを記録しこの年は大豊作となったそうです。
 そんな米どころ、酒どころのふるさとですが、なつかしい思いを抱きますが、一方でたまに帰ると少しずつ変わっていく町並みにさみしい思いをしています。

◆ふるさとメモ◆

*(1)杜氏(とうじ)=日本酒を醸造する技術者集団の責任者。高度な技術者という側面と、集団をまとめる監督としての側面を合わせもった仕事です。
*(2)「たろし」とは岩手の方言でつららを意味し古語の垂氷(たるひ)がなまったもので、できる氷柱の形が滝に似ていることから「たろし滝」の呼び名がついたといわれています。

 

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