地図
佐藤美千子
入江 真
宮城昭治
木村美紀
飯村尚美
関口鐵夫
佐々木文雄
遠藤茂雄
近藤定夫
田中 健
神田春之
有川美秋
笠原美津子
佐藤二九二
今田玲子
横山良二
増子今朝男
高橋 昇
小野寺春子
深沢 洋
東京都足立区/梅島 昭和駆けた少年時代 ―白ランニングシャツに短パンはいて果物頬張る― 鈴木智・中梅分会
私は、生まれも育ちも東京都足立区梅島です。昔を振り返ると今でも「あの頃の梅島」が、鮮やかに胸に浮かびます。 幼い頃、梅島駅前に手動の踏切があった時代。現在は立派な建物が並ぶ足立区役所一帯には、体育館や公園、プール、文化会館などが集まった住民憩いの場がありました。園内にはC50型蒸気機関車がどんと据えられ、池ではザリガニ釣り。会館では学校行事が催され、地域の鼓動がそこに集まっていたように思います。 今ではコンクリートで舗装された道も、当時は砂利道ばかり。雨が降ればぬかるみ、排水路からは水が溢れ出しました。幼稚園前の溝は一際幅があり、その縁をそっと歩くのが子どもたちの小さな「度胸試し」。友人はよく足を滑らせては、近くの銭湯・宝湯に駆け込み、番頭さんに笑われていたことを覚えています。その銭湯で印象的だったのが、いつも熱湯に浸かっていた鳶職さん。背中に彫られた鯉の滝登りが見事で、思わず「すごいなぁ」と声を漏らすと「お、兄ちゃんも入るかい?」と気さくに声をかけてくれました。強面に見えるその人の優しさは、今も鮮明に記憶に残っています。 小学生の頃は、学校が終われば三角ベース。夏には夕暮れの空の下で花火遊びをしました。ロケット花火を少しでもやろうものなら、近所のおばちゃんが飛んできて水を掛けてくる…そんなやり取りも今では懐かしく感じます。白いランニングに短パン姿で駆け回り、秋が深まれば近所の庭先で果物を味見する。まさに、絵に描いたような昭和の原風景だったと思います。 電車を眺めたり、鉄道模型やステレオをいじったり。幼い頃から電気の世界が大好きでした。高校卒業後はいくつかの仕事を経て、大手電材屋に就職。やがて職人の道へ進みました。電気を扱うことは今も変わらず楽しく「やるべきことをきちんとやれば自分の段取りで働ける」そんな自由さと手応えが、私の性に合っていたのでしょう。今なお「仕事が楽しい」と心からと感じています。 あの日の梅島と、人情に満ちた大人たち。街の姿は変わっても、胸の中にあるふるさとは、これからも色褪せることはありません。
東京都足立区のホームページ